“ぜんぶほしい!”にどう向き合う? ~収集のこだわりと支援アイデア~
監修:小田知宏(発達わんぱく会 理事長)
公開日:2025年8月28日|認定NPO法人 発達わんぱく会
・「お気に入りのミニカーを全部持って帰りたいと言って譲らない」
・「毎日決まったブロックばかり使いたがり、新しいものに手が出ない」
・「片付けができない、貸し借りが難しい」
これらは、年間200件以上の相談が寄せられる認定NPO法人発達わんぱく会でも頻繁に聞かれる
お悩みです。
実は、これらの行動は単なる「わがまま」ではなく、発達障害やその傾向がある子どもに見られやすい“こだわり行動”の一つです。この記事では、子どもたちの収集欲求やこだわり行動の背景と、それに対する支援の工夫をわかりやすくご紹介します。
「全部集めたい」「毎日これじゃないとイヤ」…このような行動には以下のような理由や心理的な背景が隠れています。
特に、発達障害やその傾向のあるお子さんの場合、感覚の過敏さや認知の特性から、周囲の環境が予測しにくく、不安を抱えやすい傾向があります。そのため、自分で「整えた世界」をつくることが、安心や満足につながっているのです。
という視点で、「どうすれば生活の中で取り入れられるか」を一緒に考えることです。
最初から必要な数をセットで用意し、「今日はこの4つの車で遊ぼうね」と伝えることで、途中で数が足りなくなって不安になるのを防ぎます。
また、遊び終わった後に「4つそろってるね!ちゃんと戻せたね」と声をかけることで、安心感と達成感を得られます。
「全部持っていきたい!」と言われたときは、ラミネートした“選ぶカード”を使って、「3つ選ぼうね」と視覚的に伝えます。“自分で選ぶ”ことで納得感が生まれ、譲歩しやすくなることがあります。
「片付けなさい」ではなく、「ここに入れると“そろったマーク”がつくよ!」と、チェック式の片付け表や写真ラベルを用意することで、どこに何を入れるかが明確になり、遊びの終わりが理解しやすくなります。
例:「このトレーに入る分だけ持って行こうね」と物理的な制限を使う
効果:
例:「このおもちゃ、今日はおやすみだけど、写真に撮っておこうね。また今度使おうね」
効果:
例:「今日のおもちゃ係は○○くん!この中から“紹介したいもの”を3つ選んでね」
効果:
“こだわり”は、一見困りごとに見えるかもしれませんが、見方を変えると「集中力」や「観察力」「探究心」といった強みにもなり得ます。
「否定せず、生活に取り入れる」工夫を
大人にとっては“こだわり”でも、こどもにとっては“安心のよりどころ”。
その気持ちを尊重しながら、少しずつ「他者と一緒に使う」「数を譲る」経験につなげていくことが大切です。
私たち大人がそれを理解し、生活の中に取り入れる工夫をすることで、困りごとは子ども自身の力を伸ばすきっかけになります。
「そんなにこだわらなくても…」と思う場面でも、「なんでそれが大事なんだろう?」と考えてみることが、関係づくりの第一歩です。
こどもの“集めたい”“数えたい”という行動を「わがまま」ではなく、「気持ちを整理しようとする力のあらわれ」と捉えてみてください。
発達わんぱく会は、保護者や支援者の皆さんと一緒に、こどもたちの「好き」「安心したい」という気持ちを大切にしながら、無理なく社会とつながるサポートを続けていきます。
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