
ことばを育てる第一歩!「ことばの前」に大切なこととは?
「ことばが遅い気がする…」
「声を出すことが少ない」
「自分からなかなか話さない」
お子さんのことばの発達について、このような不安や焦りを感じることはありませんか?
ことばがなかなか出てこないと、つい「ことばを教えなくては」「言えるように練習したほうがいいのかな」と考えてしまうこともあるかもしれません。
でも、ことばは「話す練習」だけで育つものではありません。
ことばの発達には、身体の発達や人と関わりたい気持ち、さまざまな経験、ことばの理解など、たくさんの力が関係しています。
今回は、言語聴覚士の中川信子さんが提唱された「ことばのビル」という考え方をもとに、ことばが育っていく過程をご紹介します。

1階|ことばを育てる「土台」
まず大切なのが、身体やこころ、人とのコミュニケーションの土台です。
規則正しい生活や健康な身体づくり、手遊びや身体を使った遊び。そして、
「伝えたい」
「この人と関わりたい」
という気持ちも、ことばにつながる大切な力です。
2階|ことばを理解し、ためていく
次は、聞いたことばを少しずつ理解していく段階です。
たとえば、実際に氷を触りながら「冷たいね」と聞くことで、体験と「冷たい」ということばが結びついていきます。
こうした経験を重ねながら、まだ口には出ていなくても、お子さんの中には少しずつ「ことば」がたまっていきます。
いわば、「ことばの貯金箱」です。
3階|ことばとして表現する
そして、積み重ねてきたものが、単語や会話などの「目に見えることば」として表れてきます。
大切なのは、3階の「話すこと」だけを急がないこと。
まだことばが出ていない時期にも、1階の土台を作ったり、2階の「ことばの貯金箱」にことばをためたりしています。
こっこの療育でも、この「ことばのビル」を一つひとつ建てていくことを大切にしています。
一見すると、ただ遊んでいるように見える時間にも、ことばを育てるための大切な経験がたくさんあります。
たとえば、お子さんが遊んでいるときに、
「ころころ転がったね」
「大きいね」
「冷たいね」
など、スタッフがお子さんの動きや気持ち、目の前で起きていることをことばにして伝えます。
そうすることで、「経験」と「ことば」を結びつける機会を作っています。

また、コミュニケーションは「話すこと」だけではありません。
視線、指差し、表情、しぐさ、小さな声……。
こうした反応も、お子さんからの大切なメッセージです。
こっこでは、その小さな「伝えたい」を受け止め、スタッフがことばにしながら丁寧に返していくことを大切にしています。
難しい練習をする必要はありません。普段の生活や遊びの中でできることがたくさんあります。
お子さんがジュースを指差したら、
「ジュースって言ってみて」
ではなく、
「ジュースがほしかったんだね。はい、どうぞ」
と、大人が気持ちをことばにしてみましょう。
指差しや身振りでも、「伝えたら分かってもらえた!」という経験を重ねることが大切です。
風船を膨らませながら「大きいね」、氷を触りながら「冷たいね」。
特別な場所に出かけなくても、毎日の遊びや生活の中には、ことばにつながる体験がたくさんあります。
ことばになっていなくても、指差しや視線、表情などで気持ちを伝えてくれたら、それを受け止めてみましょう。
「教えてくれてありがとう」
「こうしたかったんだね」
そんなやりとりの積み重ねが、「もっと伝えたい」「人と関わりたい」という気持ちにつながっていきます。

「ことばのビル」が建っていくスピードや順番は、お子さんによってさまざまです。
今はまだ目に見える「ことば」が少なくても、その前の大切な力を育てている途中かもしれません。
「まだ話さない」だけを見るのではなく、今どんな力が育っているのか。
私たちと一緒に、お子さんの小さな変化や成長を見つけながら、一緒に「ことばのビル」が育っていくことを喜び合いませんか。
ことばやコミュニケーションについて気になること、不安なことがありましたら、こっこのスタッフまでお気軽にご相談ください。
参考文献
中川信子(1998)『健診とことばの相談』ぶどう社